健康にいい料理を手頃な価格で
 
大衆割烹 天磯

 

   
スローフード」という言葉がある。地の食材や旬の素材を大切に、ゆっくり美味しく食事を楽しもうという、最近流行のイタリア生まれのコンセプトだ。「天磯」はJR田町駅前の第一京浜を渡った「慶応仲通り商店街」を入ってすぐ右側にある庶民的な構えの店。「その言葉が日本に伝わる前から、体にいい料理を意識してきた」と社長の川口秋義さん(75歳)が胸を張るスローフードの大衆割烹だ。手頃な価格で、酒を飲みながら本格的な味が楽しめる。昭和39年に創業。川口さんは若い頃に体をこわして長期入院した経験がある。その時に、健康を保つための食事の大切さが身にしみたことを、店で出す料理にも生かしたいと考えた。OLに人気のランチは「健康食」とうたっている。味噌汁の上ずみでといたトロロと麦飯の麦とろ定食、沖縄のニガウリを豆腐、豚肉、卵で炒めたゴーヤ定食がお勧めだ。定食に付く小鉢は、おからを炒めたり、ぜんまいを煮たり、味噌汁はシジミと栄養のバランスを考えてとりあわせている。天磯のもう一つの姿勢。それは「豪華ではないが、お出しするものが何でも美味しいと思ってもらえるような店」。店名にもなっている天麩羅に、川口さんは格別のこだわりを持つ。毎朝7時に築地に仕入れに行く前に、天つゆを作るのが日課。「素材の味を残しながら、いかに美味しい天麩羅を食べていただくかが勝負。天つゆはその生命線だから人任せにできない」と言う。例年それを目当てに来る客がいる冬のフグ料理やマグロをはじめとする磯料理は息子の誠一さん(45歳)が担当。長年、日本料理屋で修行したその腕には、「お造りがきれいで、魚の扱い方が丁寧」と父も脱帽する。天磯のお客は比較的年齢層が高い。地方に転勤して10年経って、「オーイ、帰って来たよ」と、また暖簾をくぐってくれるお客さんもいる。商店街の店が次々衣替えし、学生や若い人を意識したファストフードやチェーン展開の賑やかな店が増える中で、うまい料理を肴に、静かに飲める数少ない店だ。

●天磯
●港区芝5-20-19
●TEL 03-3454-0825
●営業時間:ランチ11:30〜13:30、夜17:00〜22:30
●第2土・日・祝日休 (金曜日は23:00まで)
●席数:1階カウンター、テーブル15席、2階座敷28席
●予算 :夜は2500円ぐらい
 
 

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