ちょっとびっくりするくらい、その建物は異彩を放っていた。玄関に置かれた植木や金魚の入った鉢、2階の窓にかけられたすだれもかなりの年代モノだ。近隣でそこだけ昔懐かしい佇まいが残り、ゆったりした時間が流れていたのである。
中に入ると、ぼんやりと橙色。和紙を使った明かりも、天井や壁にペタペタと貼られた「久保田」の酒のラベルもいい味を出している。「実は、これでボロ隠してんだよ(笑)もう、築80年くらいの建物だから」とご主人の稲本実さん。かつてこの界隈が花街だった頃、ここは芸妓さんの置屋として繁盛していたそうだ。だが時代は変わり、33年前に稲本さんのご母堂は自宅を改造して、ふぐ割烹の店を始める。今は稲本さんがのれんを守り、厨房には3代目の息子さんも顔を見せる。
「キャッチフレーズは50歳からの居酒屋かな。その日によっておすすめは違うので、『おまかせ』のお客が多いんですね。土曜日なんかは孫を連れて来る常連さんもいるから、お子様ランチつくることもあるよ。旗立ててね」。
若い人に占領されないよう、値段は少し高めとのことだが、お昼には800円のお弁当も販売されている。稲本さんの趣味で、ちょこちょこといろんなおかずが詰まったお弁当だ。
「安心して、落ち着いて、楽しんでもらえることが一番。何しろ根っからの商売人だから、味はもちろん雰囲気や間合いにはこだわってます。これからは30代半ばぐらいの方にも来てほしいですね。5月なら山菜や鰹がおすすめです」。 |
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割烹 い奈本
港区芝浦1-11-11
TEL 03-3451-1647
営業時間 11:30〜13:20、17:00〜23:00
定休日:日・祝日
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