三兄弟で江戸前を握る、大正13年創業の老舗

 

翁寿司

 

   
 2階の座敷の窓からは東京タワーが間近に眺められる絶好のロケーション。とは言え、翁寿司は東京タワーが立つより遥か前の、大正13年にこの場所に開店した。
 「私の祖父に当たる初代が、九段の翁寿司からのれん分けしてもらい、開店させたんです。道路拡張工事で多少は移動しましたが、昭和63年に新築した今の店も創業当初とほぼ同じ場所ですね」と語ってくださったのは、三代目の齋藤浩志店長。社長はお母様の冨美子さん、寿司を握るのは浩志さんと次男の健夫さん、三男の和芳さんの“江戸前三兄弟”だ。
 先代のお父様は、戦後すぐに初代が亡くなられた跡を継いで、二代目に。そのお父様も平成元年に亡くなられて、浩志さんが若くして店を継いだ。浩志さんは高校生の時から配達などで店を手伝い、大学時代も兄弟揃ってアルバイト先はご自宅だったとか。大学卒業後、今の店舗を建築するため仮営業中だった期間に、浩志さんはマンツーマンでお父様から寿司の技術を指導されたそうだ。
 寿司は正統派の江戸前。ネタは毎朝浩志さんがオートバイで築地に出かけ、仕入てくる。店から市場までは、片道10分と近い。「築地の仲買さんとも付き合いが長いので、いいものを仕入れられるんです。ほとんどが天然物で、三浦のアナゴ、三陸産の白身、淡路産のアジなども美味しいですよ。本マグロも人気がありますね。確かにどのネタも新鮮で、歯応えや旨味など絶妙の味わいだ。「本物」を食べるためにわざわざ車で来るお客様も少なくないというのもうなずける。
 場所柄、昼は外国人のお客様も多いとか。「外資系の企業や大使館が多いため、ここ数年は外国人のお客も増えましたね。でも、日本語を話せる方がほとんどだし、どんなネタもOKです」。
 夜は会社帰りのサラリーマンが中心だが、昔は地元客も多かった。「芝西久保八幡と呼ばれていた頃は住宅も多かったのですが、今の地名に変わった頃から住人はめっきり減って、企業が増えてきましたね」と浩志さん。そんな今も家族でこの場所に住み、アットホームな雰囲気で美味しい江戸前を食べられる翁寿司は、貴重な存在と言えるだろう。
 
 
 
 

翁寿司
港区虎ノ門5-8-9
TEL 03-3432-6600 FAX 03-3435-0472
営業時間 11:00〜14:00、16:00〜22:00
定休日:土・日・祝日


 

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