和風庭園を眺め心和むひとときを
 

精進料理 醍醐

 

   
 車の往来が激しい愛宕通り、芝・青松寺の隣「醍醐」ののれんを一歩くぐると、そこには“和”の雰囲気が漂う別世界が広がる。打ち水と手入れの行き届いた苔むした前庭、木の香が漂う玄関に招かれ、ひとときの静寂を手にする。
 もともと、この土地は青松寺の敷地内で住職ご隠居跡だったのだが、精進料理の店ならよかろうと昭和25年に開業の許可を得た。店の名も先々代の住職が「食の醍醐味を」と話されたところから由来しているという。
 料理は野菜中心の創作料理かと思いきや、食材の味を十二分に生かした料理がフルコースで12品。卓上に置かれたメニューには名前と日付を入れてくれる心遣い。「塩を雪のように敷きつめるような目を見張る豪華な演出はしないんですよ。奇をてらうこともなく、いつも自然で」と、長女の森岡やすこさんが語られるとおり、前菜、小附、お吸い物、お凌ぎ、八寸……と進んでゆくうちに、肩のこらない料理にいつしか心が和んでくる。八寸などは、しめじ茸・小茄子・小芋・ひしの実・いが栗が吹き寄せ風の盛り付けになり、境内を掃くと本当にこんな風に集まるそうだ。さらに、煮物、揚げ物、強肴、箸洗、御飯、香の物、水の物と続き、甘味でフィニッシュ。メニューは2〜3週間程で替わり、旬の味をいつも取り入れている。素材はすべて国産物。松茸もしかり。外国産のそば粉が多い昨今、手打ちそばは岐阜・野麦峠産を使用し、夏季以外の人気の定番メニューだという。
 広告や宣伝などは特にしておらず、ほとんどが口コミで来られるリピーターのお客様。最近では外人客も多いほか、宗教上の理由でダシに使われる鰹節を食せない人や、ベジタリアンなどにも喜ばれているという。お祝い事やお茶会などにも利用され、縁起物の掛け軸や花で部屋の演出もする。
 純和風に設えられた庭園にはもみじやざくろ、柿などが実り、木洩れ日が玉砂利に優しく注いでいる。日本人の“おもてなしの心”をさりげなく、存分に感じさせてくれる店である。
 
 
 
 

精進料理 醍醐
港区愛宕2-4-2
TEL 03-3431-0811
営業時間 12:00〜15:00/17:00〜21:00
定休日 土・日のいずれか(祝日営業)

 

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